1.桐壺-父帝と母桐壺更衣の物語
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发布于:2021-12-26 00:18
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(古典原文)


  いづれの御時にか、 女御、更衣あまた さぶらひたまひけるなかに、 いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて 時めきたまふありけり。


 はじめより我はと 思ひ上がりたまへる御方がた、 めざましきものにおとしめ嫉みたまふ。 同じほど、それより下臈の更衣たちは、 ましてやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、 恨みを負ふ積もり にやありけむ、いと 篤しくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、 いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人の そしりをも え憚らせたまはず、世のためしにも なりぬべき御もてなしなり。


  上達部、上人なども、 あいなく目を側めつつ、「 いとまばゆき 人の御おぼえなり。唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれ」と、やうやう天の下にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて、 楊貴妃の例も 引き出でつべくなりゆくに、いとはしたなきこと多かれど、 かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにて まじらひたまふ。


  父の大納言は亡くなりて、母北の方なむいにしへの人のよしあるにて、親うち具し、さしあたりて世のおぼえはなやかなる御方がたにも いたう劣らず、なにごとの儀式をももてなしたまひけれど、とりたててはかばかしき 後見しなければ、事ある時は、なほ拠り所なく心細げなり。


(现代日语译文)


 どの帝の御代であったか、女御や 更衣が大勢お仕えなさっていたなかに、たいして高貴な身分ではない方で、きわだって御寵愛をあつめていらっしゃる方があった。


 最初から自分こそはと気位い高くいらっしゃった女御方は、不愉快な者だと見くだしたり嫉んだりなさる。同じ程度の更衣や、その方より下の更衣たちは、いっそう心穏やかでない。朝晩のお側仕えにつけても、他の妃方の気持ちを不愉快ばかりにさせ、嫉妬を受けることが積もり積もったせいであろうか、とても病気がちになってゆき、何となく心細げに里に下がっていることが多いのを、ますますこの上なく不憫な方とおぼし召されて、誰の非難に対してもおさし控えあそばすことがおできになれず、後世の語り草にもなってしまいそうなお扱いぶりである。


 上達部や 殿上人なども、人ごとながら目をそらしそらしして、「とても眩しいほどの御寵愛である。唐国でも、このようなことが原因となって、国も乱れ、悪くなったのだ」と、しだいに国中でも困ったことの、人々のもてあましの種となって、楊貴妃の例までも引き合いに出されそうになってゆくので、たいそういたたまれないことが数多くなっていくが、もったいない御愛情の類のないのを頼みとして宮仕え生活をしていらっしゃる。


 父親の大納言は亡くなって、母親の北の方が古い家柄の人の教養ある人なので、両親とも揃っていて、今現在の世間の評判が勢い盛んな方々にもたいしてひけをとらず、どのような事柄の儀式にも対処なさっていたが、これといったしっかりとした後見人がいないので、こと改まった儀式の行われるときには、やはり頼りとする人がなく心細い様子である。


 (文本参考http://www.genji-monogatari.net/)