明るく温和で面倒見がよく、皆に慕われるリーダー的な存在。
それが白鷹陽介(しらたかようすけ)、私の自慢の彼だった。
大学時代を陽くんと共に過ごし、就職を機に同棲。
夢だった仕事に就き、素敵な彼氏がいる。
でも、順風満帆に思えた人生に暗い影が差し始める。
枕営業や不倫など、身に覚えのない噂が流布し
私は社内で孤立してしまう。
誰にも言えず、毎日孤独と戦い、身も心も疲弊していく。
そんな中で些細な事が気になりはじめた私は
陽くんのことすら信用できなくなっていった。
そして私は、ひとりになりたいと彼に別れを告げる。
最初は驚いた様子だったが
それがお前のためならと了承してくれた。
「頼りない彼氏だったよな……ごめん」
最後まで優しい陽くんだった。
私なんかにはもったいない人だと思う。
不動産会社に就職していた彼は
私の引っ越し先をサポートさせてほしいと申し出た。
「最後に彼氏らしいことをさせてよ」
私は彼の厚意に甘えることにした。
引っ越しまでの数週間、
努めて明るく振る舞う陽くんの優しさに救われ、
私達は友人という新しい関係を築きはじめた。
同棲した頃に想像していた未来とは違えてしまったけれど
大丈夫、これでいいんだ――
ヤンデレとサスペンスが交錯する物語の真の結末とは……。
この執着は、『愛』か『狂気』か。